マテリアル・イノベーション・ラボ(MIL): サステナブルな素材を追求する研究所

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    サステナビリティ
    2019年8月23日金曜日

    マテリアル・イノベーション・ラボ(MIL): サステナブルな素材を追求する研究所

    サステナブルなファッションを実現するためには、さまざまな条件を満たさなくてはなりません。そのひとつとなるのが適切な素材ですが、それはどこから調達すれば良いのでしょうか。この疑問に答えるために、ケリングはマテリアル・イノベーション・ラボ(MIL)を起ち上げました。MILのディレクターである、セシリア・タカヤマがサステナブルなラグジュアリー・ファッションの実用性について説明します。

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    目的:サステナブルな素材にスポットライトを当てる

     

    2013年に創設されたMILは、ケリング傘下ブランドのデザイン・チームがサステナブルな素材について理解を深められるよう、サステナブルな生地を収集したアーカイブ保管庫としての機能を果たしつつ、また複雑なサプライチェーンを変革する牽引役も担っています。研究所の主な仕事はサプライヤーとともに、トレーサビリティの向上や、環境に与える負荷が少ないサステナブルかつ革新的な素材の調達に取り組むことです。MILの使命のひとつである、対象の生地または革新的な素材のサステナビリティ・レベルの評価は、巨大サプライチェーンを抱えるケリングにとって非常に複雑な作業です。「特定の素材または繊維の環境への影響を評価する際にはケリングが開発した環境損益計算書(EP&L)を用いることができ、サステナビリティ・レベルの検証には、認定の取得状況も活用します。環境に与える影響のほとんどが、牧羊や綿花生産といった原材料の製造過程に起因しているため、サプライヤーが原材料調達ルートを変更することが不可欠です」と、MILディレクターのセシリア・タカヤマは述べています。「わたしたちの知識や経験を元に、最先端の革新的な素材、染料の試用や、サーキュラーエコノミーを目的としたプロジェクトの遂行をサポートしています。よりサステナブルなサプライチェーン形成のために、MILは積極的な役割を担っているのです」。

     

     

     

    ソリューション:多分野にわたるステークホルダー間でのコミュニケーションと協力

     

    内部や外部から定期的に訪問者をラボに受け入れているうちに、業務内容は徐々にプロジェクトベースへと変化してきました。ケリング傘下ブランドのデザイン・チームによる素材に関する特定のリクエストやアドバイスに応じるなど、ブランドとの話し合いを行っています。ラグジュアリー業界では、品質に妥協することは決して許されません。MILではまた、サプライヤーに対するサステナビリティ促進にも力を注いでいます。ミーティングやトレーニングの中で、サステナビリティがケリングにとって重要性を増していることを説明し、認定を受ける必要性も強調しています。ラボでは、”Textile Exchange”、”the Cradle to Cradle Products Innovation Institute”の”Fashion Positive PLUS collaborative”、”Ellen MacArthur Foundation”の”Make Fashion Circular initiative”など、業種の垣根を越えて持続可能性に取り組んでいる組織とともに、産業全体に変革をもたらす活動も支援しています。 

     

     

     

    結果:サステナブルな素材に対する人々の認識を変えていく

     

    現在MILは、バリエーション豊富な3,000種類以上ものサステナブルな素材を貯蔵しているだけでなく、サプライチェーンの意識改革にも貢献しました。「はっきりとした違いが見てとれます」とタカヤマは言います。「実用性のある高品質な代替品を粘り強く提案し続けたことにより、グループ内のブランドから信頼を得ることができ、以前はサステナビリティに興味を示さなかったサプライヤーからも問い合わせが入るようになりました。さらにサプライヤーの施設や生地も認証を受けることで、大きく前進しました」。今後は消費者需要に対応するという転換点にも対処しなければなりません。生産量が増え製造コストが減少すれば、サプライヤーは受注生産だけではなく、在庫を確保することに納得するでしょう。そうすることでリードタイムが短縮されます。「価格設定は容易ではないでしょう。しかし、サステナビリティを求める声は消費者や社会から上がってきます。産業全体が前に進むためにも、現在の取り組みは不可欠であると確信しています」。

     

     

     

    This article is taken from Luxury Highlights, an in-depth newsletter that looks into Kering’s and its Houses’ activities.

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