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才能ある女性たちに光を当て、彼女たちが直面する不平等を明らかにすることを目的として、2015年にカンヌ国際映画祭のプログラムとしてスタートした「ウーマン・イン・モーション」プログラムは、2017年より日本でもその取り組みを開始しました。映画監督の河瀨直美監督によるトークなどを経て、「ウーマン・イン・モーション」はKYOTOGRAPHIEをはじめとする日本の有名なフェスティバルともパートナーシップを結んでいます。当初は映画業界を中心に展開していた「ウーマン・イン・モーション」は、写真をはじめとする、文化・芸術のあらゆる分野にまで取り組みの幅を広げています。
高い評価を得ている写真家のみならず新進気鋭の才能が一堂に会す国際的な写真祭であるKYOTOGRAPHIEを、「ウーマン・イン・モーション」は2021年より支援しています。
今年で12回目を迎えるKYOTOGRAPHIE2024は、すべてのものの起源であり、初めであり、始まりでもある源「Source」をテーマに、原点への回帰と未来への歩みとの狭間で揺れ動きながら、13の展覧会を通して新たなる未来を探っていく。
2023年以来、ケリングとKYOTOGRAPHIEは、世代の異なる二人の日本人女性写真家による対話的な展覧会を開催しています。第一回目となった2023年の石内都と頭山ゆう紀に続き、今年は世界的にも活躍を遂げる川内倫子が1940年生まれの日本人写真家、潮田登久子を選び、「From Our Windows」と題した展覧会を開催します。
本展は、日本国内のみならず国際的にも活躍を遂げる写真家 川内倫子と1940年に生まれ75年以降フリーランス写真家として日本写真協会賞作家賞など写真界の名だたる賞を受賞している潮田登久子による対話的な二人展となります。川内は「Cui Cui」「as it is」、潮田は「冷蔵庫/ICEBOX」「マイハズバンド」、それぞれ2つのシリーズから作品を展示します。いずれも家族や子どもなどが被写体として共通していますが、世代の異なる二人の作家それぞれの視点やアプローチを感じることができます。
1972年、滋賀県生まれ。2002年に『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2023年にソニーワールドフォトグラフィーアワードのOutstanding Contribution to Photography(特別功労賞)を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。主な著作に『Illuminance』(2011)、『あめつち』(2013)、『Halo』(2017)など。近刊に写真集『やまなみ』(2022)『いまここ』(2023、谷川俊太郎との共著)がある。2022-2023年に東京オペラシティ アートギャラリーと滋賀県立美術館で個展「川内倫子:M/E--球体の上 無限の連なり」を開催した。
東京都生まれ。1963年、桑沢デザイン研究所リビングデザイン研究科写真専攻卒業。同研究所で写真家・石元泰博、大辻清司の指導を受け、写真家の道に進む。1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所及び東京造形大学で写真の講師を務める。1975年頃よりフリーランスの写真家。代表作にさまざまな家庭の冷蔵庫を撮影した「冷蔵庫/ICEBOX」、書架に在る書籍を主題とした「本の景色/BIBLIOTHECA」などがある。2018年に土門拳賞、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞、2019年に桑沢特別賞受賞。2022年、写真集『マイハズバンド』がParis Photo–Aperture PhotoBook Awards、審査員特別賞受賞。
2015年、ケリングは映画界の女性に光を当てることを目的に、カンヌ国際映画祭にて「ウーマン・イン・モーション」を立ち上げました。日本においては2017年に初めて開催をし、河瀨直美監督のトークや映画祭とのパートナーシップを通じて活動をしてきました。また、映画界に限ることなく、「ウーマン・イン・モーション」は写真を始めとする他の芸術分野にもその取り組みを広げました。
2019年にアルル国際写真祭とのパートナーシップを発表し、日本では、2021年のKYOTOGRAPHIEにて、ヨーロッパ写真美術館(MEP)がキュレーションを担当した「MEP Studio(ヨーロッパ写真美術館)による5人の女性アーティスト展 ‐ フランスにおける写真と映像の新たな見地」、2022年に10名の日本人女性写真家の展覧会「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」、2023年にA dialogue between Ishiuchi Miyako and Yuhki Touyama 「透視する窓辺」展を支援しました。
ケリング「ウーマン・イン・モーション」プログラムは、写真芸術の新たな視点を提供し、高い評価を得ているアーティストと若き才能が集まる必見の国際的写真祭であるKyotographieを2021年よりサポートしています。今年は「BORDER」をテーマとし、あらゆる生命体が持っていながらも、なかなか目に見えない《BORDER=境界線》を可視化するような展示プログラムが充実しています。
このような背景のもと、「ウーマン・イン・モーション」は、今回の石内 都と頭山ゆう紀による「透視する窓辺」展を支援し、世代を越えた名高いアーティストと新進気鋭のアーティストとの対話を実現します。
「透視する窓辺」と題した本展は、世代の異なる日本の女性写真家の作品が交差するまなざしを考察画する展覧会です。石内 都が展示する〈 Mother's 〉は、作家の母を一人の女性としてとらえ、母の遺品を撮影しています。頭山ゆう紀は、友人の死をきっかけに撮影を始めたシリーズ〈境界線13〉と、祖母を介護し看取るまでの日々を写した最新作を、展示します。この2人のアーティストによるシナジーと、2人の写真作品がクロスオーバーすることで、環境や状況に左右されることなく、自らを信じ、自分の道を力強く歩んでいくことを人々に訴えます。
群馬県桐生市生まれ。神奈川県横須賀市で育つ。1979年に〈Apartment〉で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年、母親の遺品を撮影した〈Mother’s〉で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される。2007年より現在まで続けられる被爆者の遺品を撮影した〈ひろしま〉も国際的に評価されている。2013年紫綬褒章受章。2014年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞。近年の主な展覧会・出版物に、個展「Postwar Shadows」(J・ポール・ゲッティ美術館 ロサンゼルス 2015)、写真集『フリーダ 愛と痛み』(岩波書店 2016)、個展「肌理と写真」(横浜美術館 2017)、個展「石内 都」(Each Modern 台湾 2022)、個展「Ishiuchi Miyako」(Stills エディンバラ 2022)、「六本木クロッシング」(森美術館 東京 2022)などがある。作品は、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、ニューヨーク近代美術館、J・ポール・ゲティ美術館、テート・モダンなどに収蔵されている。
1983年千葉県生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。生と死、時間や気配など目に見えないものを写真に捉える。自室の暗室でプリント作業をし、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現する。主な出版物に『境界線13』(赤々舎 2008)、『さすらい』(abp 2008)、『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016−2017』(THE HINOKI 2017)、『超国家主義−煩悶する青年とナショナリズム』(中島岳志 著、頭山ゆう紀 写真/筑摩書房 2018)がある。
2015年にカンヌ国際映画祭の一環として発足した「ウーマン・イン・モーション」プログラムは、2017年より日本でも取り組みを開始し、映画監督・河瀨直美との最初の「ウーマン・イン・モーション」トークを始め、日本の名だたる映画祭への支援も実施しました。以来、「ウーマン・イン・モーション」は女性の才能に光を当てるための取り組みを強化し、写真など芸術・文化の新たな分野へと活動を広げています。
Kyotographieとのパートナーシップは2019年より始動し、2021年に「ウーマン・イン・モーション」は第9回Kyotographieにて、MEP(ヨーロッパ写真美術館)による「MEP Studio(ヨーロッパ写真美術館)による5人の女性アーティスト展 ─ フランスにおける写真と映像の新たな見地」を支援しました。Kyotographieでの本展覧会を支援することで、「ウーマン・イン・モーション」は、写真の世界で活躍する女性を支援する取り組みをさらに発展させていきます。また、芸術文化のあらゆる分野で男女不平等が問題となっている現在、写真分野に限らず、芸術・文化全般において女性の貢献や認識について議論を促しています。
2013年、フランス人写真家のルシール・レイボーズと日本人の照明家、仲西祐介は、伝統的かつ現代的な写真文化の向上を目的に、国内外のアーティストを紹介する写真祭「Kyotographie」を創設しました。古都・京都で1ヶ月間開催されるこのフェスティバルでは、芸術的な対話を生み出し、著名な写真家と新しい才能との議論や出会いの場を提供しています。
Kyotographieのパートナーとして、「ウーマン・イン・モーション」は、Kyotographie 共同創設者/共同ディレクターのレイボーズおよび仲西、そしてインディペンデント・キュレーター/写真史家のポリーヌ・ベルマールのキュレーションによる「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」展を支援します。日本で開催されるKyotographieの10周年を記念し、10名の現代日本の女性写真家が一堂に会し、社会におけるそれぞれの問題と向き合い、独自の方法で表現する作家たちの作品を紹介します。
「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」は、10名の日本の女性写真家による芸術的才能を結集させた展覧会です。本展には、地蔵ゆかり、林典子、細倉真弓、稲岡亜里子、岩根愛、岡部桃、清水はるみ、鈴木麻弓、殿村任香、𠮷田多麻希の10名の女性写真家が登場します。キュレーターたちの言葉を借りれば、「10の個展からなるシンフォニー」であり、今年のKyotographieのテーマである「ONE」にちなんだ展示となっています。また、表現や芸術としての写真への理解を深める、という本写真祭の多面的な趣旨を反映しています。本展では、京都を拠点に活動するデザイナー兼建築家の小西啓睦 (miso)が考案したオリジナルの構造体等により、日本人女性写真家のもつ多様性を独自の視点で紹介します。
地蔵ゆかり
⾳楽⼤学を卒業後、作曲家・プログラマーとして活動。亡き父の言葉に従い訪れた雪深い村で、1300年前から続く祭事「祭堂」と出会う。戦争や病気など様々な困難を乗り越え人々が守り続けてきたこの祭事に生きる勇気を与えられ、「ZAIDO 」を制作。2020年に写真集:『ZAIDO』がSTEIDL社より出版された。『ZAIDO』は、Photo-eye、VOGUE、LensCulture、Vanity Fairなどの「2020年のベスト写真」等に選ばれている。LensCulture Emerging Talent Awards、LUCIE PHOTOBOOK PRIZE 等を受賞。作品はヒューストン美術館、グリフィン美術館、フランス国立美術館に収蔵されている。
ZAIDO ©Yukari Chikura
林典子
社会・ジェンダー問題をテーマとするドキュメンタリー作家。北朝鮮に暮らす「日本人妻」をテーマにした長期プロジェクト「sawasawato」を展示する。個人史とそれを取り巻く社会的記憶の表象について考察しながら、日本と朝鮮半島を行き交う個々の記憶を紡ぎ合わせ再構築している。2019年『フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った「日本人妻」─60年の記憶』(岩波新書)を出版。2020年、韓国の出版社薑擎僥堅より韓国語翻訳版刊行。「ビザ・プール・リマージュ」(フランス)金賞、NPPA全米報道写真家協会賞1位など受賞。
Sawasawato ©Noriko Hayashi
細倉真弓
立命館大学文学部、及び日本大学芸術学部写真学科卒業。触覚的な視覚を軸に、身体や性、人と人工物、有機物と無機物など、移り変わっていく境界線を写真と映像で扱う。これまでヌードを撮影してきた細倉が「女性が男性をどう見るか」に焦点を当て、ゲイ雑誌のグラビアや美術館の彫刻などを撮影してコラージュした作品「NEW SKIN」を写真と映像によるインスタレーションにて展示する。主な写真集に『NEW SKIN』(MACK 2020)『Jubilee』(artbeat publishers 2017)、など。主な個展に「Sen to Me」(Takuro Someya Contemporary Art 2021 東京)、「NEW SKIN |あたらしい肌」(mumei 2019 東京)など。
NEW SKIN ©︎Mayumi Hosokura
稲岡亜里子
ニューヨークのパーソンズ美術大学写真科卒業。卒業後、ニューヨークをベースに写真家として活動を始める。2001年のアメリカ同時多発テロ事件を体験、翌2002年に訪れたアイスランドの水の風景に魅せられ、作品制作のため通い始める。2009年から、アイスランドで出会った双子の姉妹を8年に渡り撮りため、写真集『Eagle and Raven』(赤々舎 2020)を発表。自身が生まれ育った京都の風景や日本のアニミズムという、日本から失われつつあるものともつながっていると稲岡が語る本作品を展示する。 2014年に創業550年を超える家業の十六代当主となり、本家尾張屋当主と写真家、二つの顔を持ちながら活動を続けている。
Eagle and Raven ©︎Ariko Inaoka
岩根愛
1991年単身渡米、ペトロリアハイスクールに留学し、オフグリッド、自給自足の暮らしの中で学ぶ。帰国後、1996年より写真家として活動を始める。ハワイ移民を通じた福島とハワイの関わりをテーマに、2018 年、『KIPUKA』(青幻舎)を上梓、第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞受賞。最新作品集に『A NEW RIVER』(bookshop M 2020)、著作に『キプカへの旅』(太田出版 2018)など。コロナ禍でライトアップが中止となった東北の桜の名所を歩いているうちに「自然と人間の境界が曖昧になった」という岩根が、暗闇のなかで桜と伝統芸能の舞を撮影した作品「NEW RIVER」を展示。
A NEW RIVER ©︎Ai Iwane
岡部桃
日本大学芸術学部卒業。主な受賞歴に「写真新世紀優秀賞受賞(荒木経惟選)」(P3 art and environment 1999 東京)、FOAM's Paul Huf award(Foam Museum 2015 オランダ)などがある。第19回「ひとつぼ展」入選(ガーディアン・ガーデン 2002 東京)。KASSEL PHOTOBOOK AWARD入選(ThePhotoBookMuseum Cologne 2014 ドイツ)。主な展覧会に「Dild&Bible」(Foam Museum 2015 オランダ、成山画廊 東京)など。刊行した写真集に、『DILDO』(session press 2013)、『バイブル』(session press 2014)、『イルマタル』(まんだらけ 2020)がある。岡部が「今を生きるすべての人の叙事詩」と語る、自身の妊娠・出産をふくむ2012-2019年に撮影した作品「イルマタル」を展示。
ILMATAR 2020 Archival color C-print ©Momo Okabe
清水はるみ
主な個展に「The Plants in the Voynich Manuscript」(IMA gallery 2019年)、「OPEN FRUIT IS GOD」(gallery blanka 2015)、「icedland」(Place M 2014)。主なグループ展に「浅間国際フォトフェスティバル」(長野 2019)、「LUMIX MEETS BEYOND 2020 by Japanese Photographers #4」(アムステルダム、パリ、東京 2016)などがある。突然変異の動物や人工交配の植物を博物学的観点からとらえ、人間の体と対比させてフレーミングし撮影。希少性の高い個体や、人工的に生み出された改良品種の姿をアーカイブした作品「mutation / creation」を展示する。
mutation / creation ©︎Harumi Shimizu
鈴木麻弓
日本大学芸術学部写真学科卒業。ヴィジュアルストーリーテラーとして、個人的な物語を通し作品を生み出している。1930年に祖父によって創業された写真館を営む家庭で18歳まで育つ。大学卒業後はフリーランスとして、ポートレートを中心に活動。2011年3月11日、東日本大震災が発生し、故郷の宮城県女川町が津波で破壊され、両親が行方不明となった。以降、故郷へ足しげく通い、地域の人々の前に進む姿を記録し続けている。2017年に自費出版した『The Restoration Will』で、Photobooxグランプリ受賞(イタリア)、 2018年PHOTO ESPANA国際部門・年間ベスト写真集賞(スペイン)など、大きく評価された。自身の不妊治療の経験を描いた新作「HOJO」を展示する。
HOJO ©︎Mayumi Suzuki
殿村任香
大阪ビジュアルアーツ放送・映像学科卒業。2008年、自身の家族の日常を赤裸々に撮った『母恋 ハハ・ラブ』を赤々舎より出版しデビュー。2013年には、ホステスとして夜の人々と生きながら撮った『ゼィコードゥミーユカリ』を発表。以後、精力的に作品を発表し、2019年にがんと闘い向き合う女性のポートレートプロジェクト「SHINING WOMAN PROJECT」を立ち上げ、2020年に『SHINING WOMAN #cancerbeauty』を発表した。海外での活躍も目覚ましく、2018年にはロンドンのDaiwa Foundation Japan House Galleryにて開催された「Double Method」展などに参加。2022年3月にパリのヨーロッパ写真美術館で開催するのグループ展「Love Songs」にも出展。KYOTOGRAPHIE2022では日常の悲喜交交や夜の街の風景を捉えた殿村流「愛の劇場」とも言える作品「焦がれ死に」を展示する。
die of love ©Hideka Tonomura
𠮷田多麻希
幼少期の影響で生き物好きに育つ。2018年より作品の制作を重ね、現代の社会問題と自然や生き物への敬愛を同時に表現するためリサーチを開始。その結果を関連付ける実験的で抽象的な表現を試み、継続中のプロジェクトである〈Negative Ecology〉で2021年「KG+ SELECT」グランプリを受賞、同作品をKYOTOGRAPHIE2022で展示する。本プロジェクトは、野生の鹿を撮ったネガフィルムの現像失敗が契機となった。人の日常生活が、野生生物や自然界に侵食している様を想像し、東京から1000km離れ、豊かな自然が存在する北海道で撮影が始まった。撮影後、日常で使用する洗剤、研磨剤、歯磨き粉などの薬品類を混ぜ現像され作成されたネガフィルムは、汚染されダメージを受けているかもしれない野生生物や自然を表すメタファーでもある。
Negative Ecology ©︎Tamaki Yoshida
2015年にカンヌ国際映画祭の一環として発足した「ウーマン・イン・モーション」プログラムは、2017年より日本でも取り組みを開始し、映画監督・河瀨直美との最初の「ウーマン・イン・モーション」トークを始め、日本の名だたる映画祭への支援も実施しました。以来、「ウーマン・イン・モーション」は女性の才能に光を当てるための取り組みを強化し、写真など芸術・文化の新たな分野へと活動を広げています。
Kyotographieとのパートナーシップは2019年より始動し、2021年に「ウーマン・イン・モーション」は第9回Kyotographieにて、MEP(ヨーロッパ写真美術館)による「MEP Studio(ヨーロッパ写真美術館)による5人の女性アーティスト展 ─ フランスにおける写真と映像の新たな見地」を支援しました。Kyotographieでの本展覧会を支援することで、「ウーマン・イン・モーション」は、写真の世界で活躍する女性を支援する取り組みをさらに発展させていきます。また、芸術文化のあらゆる分野で男女不平等が問題となっている現在、写真分野に限らず、芸術・文化全般において女性の貢献や認識について議論を促しています。
2013年にスタートした「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」は、国内外の重要作家の貴重な写真作品を、京都ならではの趣きのある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展示します。これは、過去と現在の対話を生み出すだけでなく、京都という町の二面性を明らかにするものです。KYOTOGRAPHIEは、表現手段としての写真、そして芸術としての写真の価値を高めるための多面的なフェスティバルです。
第9回目となる本年は、「ECHO」をテーマに開催されます。これは、悲劇的な出来事が、個人の状況に応じて独特のECHO (呼応)を生み出すという考えに基づいています。このような背景から、「ウーマン・イン・モーション」は、MEP(ヨーロッパ写真美術館)のディレクターであるサイモン・ベーカー氏のキュレーションによる「MEP Studio(ヨーロッパ写真美術館)による5人の女性アーティスト展 ─ フランスにおける写真と映像の新たな見地」を支援します。本展では、日本では初公開となるフランスの若手女性アーティストのマルグリット・ボーンハウザー、マノン・ロンジュエール、アデル・グラタコス・ド・ヴォルデール、そしてニナ・ショレ&クロチルド・マッタの5名を紹介します。
この5名のアーティストは皆、ジャンルや分野の垣根を越えて、現在のフランスにおけるコンテンポラリー写真や映像作品の豊かさ、多様性、独自性を明らかにします。作品のハイブリッド性(交雑性)と、写真や映像という表現手法に対する先鋭的なアプローチが特徴的で、フランスの活発なアートシーンを体現しています。多方面で活躍する彼らに共通しているのは、物語に対する鋭敏な感覚と、虚構とそこから引き出される現実との境界線を曖昧にするセンスです。
本展は2021年9月18日から10月17日までHOSOOギャラリー にいて開催されます。
1989年生まれ、現在パリ在住。文学とジャーナリズムを学んだ後、アルル国立写真高等学院(フランス)で学び、2015年に同校を卒業。これまで世界各国の美術館、ギャラリー、芸術祭などで作品を発表している。写真をベースとしたリサーチに書籍出版を組み合わせた活動を特徴とし、2017年に『Plastic Colors』(Editions du Lic刊)、また2018年に『8』、2019年に『Red Harvest(赤い収穫)』(ともにEditions Poursuite刊)を出版。2021年には4冊目の著作がラ・マルティーニエール社から刊行される。フォトジャーナリスト、ポートレートフォトグラファー、ファッションフォトグラファーとしても活動し、フランス国内外の雑誌や新聞にて作品を発表している。
映像作家/ダンサーのニナ・ショレ(1991年レ・リラ生まれ)と、美術作家/女優のクロチルド・マッタ(1991年パリ生まれ)は、2018年からユニットとしてコラボレーションを行っている。ショレとマッタの作品は、写真や映像、パフォーマンス、インスタレーションを組み合わせながら、虚構と現実の境界線を曖昧にしていく。「身体的な親密さ」を視覚的に表現するための感覚的・直観的なアプローチが、彼女らの芸術活動の中心をなしている。官能的で詩的なイメージを用いて女性の身体の表現を探究する2人は、ユニットでの共同制作と並行して、それぞれ独立したアーティストとしての活動も継続している。
1993年生まれ、現在パリ在住。パリのソルボンヌ大学で美術史の学位を取得した後、アニメーションの専門学校ゴブランで学び、2017年に同校を卒業。ロンジュエールの作品は、フランス国内はもとよりヨーロッパ各国の映像祭で上映され、エリゼ写真美術館(スイス、ローザンヌ)をはじめとするヨーロッパの重要な美術館に収蔵されている。ロンジュエールは現在、「Mémoire d’un future(未来の記憶)」という新たなプロジェクトに取り組んでいる。本プロジェクトは、CNAP(フランス国立造形芸術センター)とパリのジュ・ド・ポーム国立美術館が共同で行う「Image 3.0」の委託制作作品として進められている。
1993年生まれ、現在ブリュッセル(ベルギー)在住。ベルギーのラ・カンブル国立美術学校で彫刻、映像、インスタレーションを学んだグラタコス・ド・ヴォルデールは、写真や映像によるリサーチにエディトリアル(出版編集)を融合させた制作を特徴とする。2018年には『Tous ces tremblements qui nous exposent (Too close is not enough) [私たちをさらけ出す、あらゆる揺らぎ(近すぎても駄目)]』を、また2019年には『Est-ce si épuisant de scruter l’invisible ? (Cartographie plurielle d’un visage) [見えないものを詳しく知ろうとするのはそんなに大変なことなのだろうか?(いくつもの顔のマッピング)]』を、いずれもSilence Edition社から出版。また進行中のプロジェクト「Hôtel Minotaure(オテル・ミノトール)」は2021年に「Vocation Prize for Visual Art」を受賞した。グラタコス・ド・ヴォルデールのリサーチに基づく活動は近年さらに拡張し、レクチャーや建築などの領域にも派生している。
MEP(ヨーロッパ写真美術館)について
パリの歴史的中心部に位置するMEPは、1996年2月にオープンした現代写真の一大拠点です。新進の才能を支援することは、MEPの重要なミッションのひとつであり、2018年には若手アーティストの初個展を開催することと若手女性アーティストの支援を目的としたスペース「Studio」を新たに設立しました。